DIRECTORY 声優名鑑
永塚 拓馬 (ながつか たくま)
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- 所属
- アイムエンタープライズ
- 誕生日
- 10月4日
- 出身地
- 神奈川県
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- 趣味・特技・資格
- ランニング、紅茶、歌唱、オカリナ、逆立ち
- 主な出演作
- TV『であいもん』瀬戸咲季、『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』ボチ、『僕のヒーローアカデミア』口田甲司、『SK∞ エスケーエイト』MIYA、『ヴィジュアルプリズン』ヴーヴ・エリザベス、『アイドルマスター SideM』冬美旬、ゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』ネージュ・リュバンシェ
MAGAZINE
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永塚拓馬 インタビュー
レコMEN!―― ちなみに永塚さんはアイドルがお好きだとか。 姉に、ももいろクローバーZさんを勧められて活動を追ったら、「アイドルとは熱くてキラキラして本気で頑張っている生き様が見られる文化なんだ」と思い、そこから一気にアイドル全体にハマりました。最近は、近い個性のアイドルが集まってユニットになる『アイドルマスター SideM』がハロー!プロジェクトさんに、ぜんぜん違う個性がひとつにまとまった『キンプリ(KING OF PRISM)』がももいろクローバーZさんに近いのかな……なんて、自分のお仕事と照らし合わせて勝手に考えたりもします。さらに今は『スタレボ☆彡 88星座のアイドル革命』にも出演させていただいていますし、まったく違うアイドルを演じられるというのも声優の醍醐味なのかなと感じています。ただ、どんな形で表に立つときも〝自分が役の邪魔をしてはいけない?とは思っています。―― アイドル以外では『活劇 刀剣乱舞』のこんのすけのような人外の役も面白いですよね。 そうなんですよ! 完成された世界観に飛び込むというプレッシャーもありましたが、現場での掛け合いはすごく楽しかったです。僕は中性的な声質ですが、いつか中身がワイルドで破天荒な役をやってみたいという願望があります!歌もいつかロックを歌ってみたいと思っています(笑)。永塚の今後の成長も含めて楽しみにしていただけたらうれしいです!…続きは声優グランプリ1月号で!
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COLUMN
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第7回 「菖蒲華(あやめはなさく)」
永塚拓馬『永塚の随筆』夏至が過ぎた。
太陽は傾きを弱め、徐々に夜が長くなっていく。
それでも、暑さは身を潜めることなく、むしろ、これから隆盛を極めていくという。
にわかには信じたくない。
6月も末日が近づいてきた。
12月の末日は大晦日。
これは、多くの日本人が共通認識として持っていると思うが、実は6月の末日にも“大祓え”もしくは“夏越しの祓え”という名前が付いているのは、あまり知られていないのではないだろうか。
大晦日、除夜の鐘、年越し蕎麦、紅白歌合戦。
耳なじみがある。市民権を得ている。
夏越しの祓え、形代流し、茅の輪くぐり、水無月。
なんともマイナーというか、
普段の生活とは離れた。いわぬる“神事”な気がする。
それだけに、ちょっと近寄りづらい気もしないこともないが「家で寝転がっているよりはマシか」と、名残惜しくエアコンの電源を切り、茅の輪を置いているという代々木八幡に向かうことにした。
意気揚々とドアを開け、玄関を一歩出ると襲ってくる熱風。夏の温度がゆっくりと、身体を包み込む。早速、Uターンしたくなる気持ちを抑えて家を出た。
初めの一歩を踏み出せば、なんとかなるもんだと自分に言い聞かせる。
ジリジリと照りつける太陽に焼かれながら、電車にたどり着き、それからまた太陽に焼かれ歩くこと数分、代々木八幡の門柱が見えた。
石段を囲むように並ぶ木々。踏み入れると、境内は木陰のお陰か土の湿り気のお陰か、かなり涼しく感じた。静謐な空気と木葉のさざめきが聞こえる。
石段を登りしばらく石畳を歩くと、鳥居越し、参道の先。直径2メートル以上はあるであろう、大きな輪が見えてきた。
どうやら、あれが“茅の輪”らしい。
といっても、正直どうすれば良いか皆目検討が付かない。
輪をくぐることで、半年間の罪や穢れを祓うことができるらしいが、ただくぐるだけでいいのだろうか?
しょうがないので、見よう見まね。丁度参拝に来ていた前の客についていかせていただくことにした。さながらRPGのパーティメンバーだ。
即席の一行は、茅の輪の中を八の字を描くように歩き本殿に向かう。どうやら、茅の輪くぐりはこれで完了したらしい。潜り抜けることで、特に何かが変わった気もしないが、それは僕に厄が付いていなかったということかもしれない。
せっかくなので、そのままの流れで本殿にお参りをする。
残りも、あと半年か。
振り返る道が眩しくて、僕は目を細めた。
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第6回 「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」
永塚拓馬『永塚の随筆』地下鉄・新宿三丁目駅から、徒歩一分。
ビルの狭間に取り残されたように、花園神社が建っている。芸能にご利益があると役者や歌手の間では有名で、僕も今年は初詣に行き、芸事の発展を願って御守を授かっていた。
あくる夜の仕事終わり。久方ぶりに境内の前を通り掛かると、広場に怪しく赤く光るテントが建っていた。花園神社は本殿が赤いので、神事のものかとも思ったのだが、参道横に立て掛けてある看板を流し見ると、どうも違うらしい。
レトロ映画を感じさせるチラシの下には、白い紙が貼り付けてあり、週末になるとこのテントの中で夜毎に野外演劇が行われている旨が書いてあった。
チラシによると、公演しているのは、アングラ演劇の旗手と呼ばれる、劇団唐組。三十周年公演の第一弾“吸血姫”だ。
これは、とても気になる。
さっそく、以前から機会があれば花園神社の野外演劇に行こうと話していた役者仲間の堀江君を誘ってみることにした。
偶々ふたりの予定が合った週末の夜。開演三十分前に現地で待ち合わせることにした。新宿三丁目駅から地上に上り出て、丁度神社前に着いた頃、堀江君からも到着の連絡が来た。顔をスマートフォンから上げて、道行く人の流れに目をこらすと、瞳の大きいなじみの顔が見つかった。いつもは黒一色に身を包んでいる彼だが、今日は白いカットソーを着ているようだ。珍しい。
ういーだか、おいすーだか、適当に挨拶して、適当に話し、適当に辺りを見てまわる。
「屋台とか出てないかね?たこ焼きとか食べたいや」
「おっ良いですねー」
僕は祭りによくあるチープな屋台が好きで今日も期待していたのだが、裏手にまわったりいろいろ見回しても残念ながら特にそれらしき屋台は見つからなかった。
となれば、特段することも無いので、さっそく、テント横の受付でチケットを買い、整理券とパンフレットを受け取った。整理券は赤い数字が前売り券。青い数字が当日券で分けられているらしい。僕らの整理券は青だ。
しばらく写真を撮ったり(本殿や鳥居の中を撮るのは一応遠慮した)
男ふたりで「テントの中にはきっと吸血鬼がいるに違いない」などと、下らない妄想をしたりしていると、突然、スタッフが大きな声で案内を始めた。どうやら、そろそろ公演が始まるらしい。
赤い番号札から、青い番号札。指示に従って列が作られると、前売りの客が大勢を占めているようで自分達はかなり後ろの方に並ぶことになった。靴入れのビニール袋を配りに来たスタッフが言うには「今日は客が多いので、もしかしたら立ち見になるかも知れない」ということだ。
公演時間は二時間半。これは少々辛い思いをするかもしれない。
「青の番号札一番から五十番のお客様ー!」
ようやく自分達の色と番号が呼ばれて、赤いテントの中に潜り込むと、中は一面、御座が敷いてあり、人が殆ど隙間無く犇めき合うように座っていた。
必然、真ん中の方に行くこともできず、僕達は入り口のすぐ側に腰を落とす。立ち見は避ける事ができたが、自分達の周りには脚を広げる空間も無く、結局、体育座りのような格好で落ち着いた。これは、少しでも油断すると腕や脚が痺れるので気を付けなければいけない。観劇に馴れた客は座布団を持ってきているようだ。もしまた、来ることがあれば参考にしよう。
満員電車のように押し合い圧し合いして、何とか僕らより後ろの客も座ることが出来るとザーザーと音をたてて幕が開いた。
スポットライトに照らされて、看護師姿の女優達がムード歌謡を歌い始め、物語が綴られ始めた……
唐組は三十年の歴史がある劇団ということで、壮年の役者が多いのかと想像していたが、意外にも若い役者が多い。
しかし、メジャーなエンターテイメント演劇と違い、浅学な自分には理解をするのが少々難しい。エネルギッシュに吐き出される口上は、普段耳にするような会話文とは異なり、時々外国語のようにすら聞こえるし、
前触れ無く、時空を越えて繰り広げられる物語に、なんとか食らいつくように付いていくと、いつの間にか物語は終わっていた。
照明と客の体温。役者の発する熱で既にサウナと化していたテントから這い出ると、夜風が頬を撫でた。外の空気は涼しく、ようやく呼吸が出来た気がした。
役者の熱と観客の熱。そして、自分の身体の熱。
朦朧とする頭は、
夏の夜の夢から覚めたようだった。
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第5回 「紅花栄(べにばなさかう)」
永塚拓馬『永塚の随筆』雨が降るようになってきた、
春はもう去ってしまうのだろうか。もう少し落ち着いててくれても良いものだが、いつも通りすぎるように去っていく。
ゴウンゴウンと音を立てて、洗濯機が揺れている。
天気予報は毎日眺めているはずなのだが、アナウンサーの忠告は寝惚けた頭を通りすぎていく。
洗濯と濡れた洗濯物の洗い直し。それが最近の日課だ。
洗濯物が濡れるのはまだ良いのだが、出先で雨に降られると非常に困る。小雨ならば「イギリス人は傘を差さないんだよ」などと強がれるものの、大粒の雨を傘を差さずに身に受けていたら、例えイギリスに居たとしてもおかしな人だ。
そんなこんなで、雨に降られる度にコンビニで傘を買うものだから、
気付けば、ひとり暮らしの小さな玄関にビニール傘が着々と増えてきた。僕と同じように雨に困っている人がいたら、配ってあげたい。おかしな人だけど、お願いだから、受け取って欲しい。
そもそも、これだけ技術革新の著しい現代において、なぜ傘は一向に“傘”のままなのだろうか、約四千年も前から傘は傘のままだという。最近では先端から風圧を出し、雨粒を吹き飛ばす棒なども開発されたらしいが、それでは周囲に雨粒を撒き散らす迷惑男になりかねない。誰も近寄って来なくなってしまうだろう。
“指を鳴らすだけで僕の周りだけ雨が降らない”
そんな、道具が欲しい。これは、幼少の頃から雨が降る度に言っているのだが、その度に「お前が傘を持ち歩けばいいのだろう」と叱られる。
……至極真っ当な意見だと思う。結局のところ、自分が悪いのだ。
「一年中春にならないかなぁ」
窓を伝う雨を眺めながら、僕はひとりで溜息をついた。
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